事業承継税制が改正になった。
正確には、現行の制度は残したまま特例制度が併設された。
特例は10年間の期間限定で、5年以内に申請をしている会社が利用可能とのこと。
そもそも事業承継税制とは
事業承継税制は同族経営の会社向けの株式承継制度で、これを利用するとお父さんから息子へ、自社の株式を相続税負担を軽くして承継させることができる。
現行の制度では発行済株式の2/3までの株式を上限に、株式にかかる相続税の80%が猶予される。
一見いい制度っぽいが、承継可能な株式数に制限があったり、相続税も中途半端に猶予されるので適用を躊躇する。
他にも従業員の雇用の80%キープを求められたり、事業が継続できなくなった場合には猶予がストップするなど、事業をする中で予想し難い部分についが要件として求められたりして、検討のテーブルに乗せづらい制度であった。
実際に適用している企業はかなり少かった。
今回何が変わったのか
承継可能な株式の上限がなくなったり、猶予される税額の上限もなくなった。
この制度を利用して、お父さんから息子へ、発行済株式の100%を移動させた場合でも、その全ての相続税が猶予される。
従業員の雇用についても、80%がキープできなくても大丈夫になった。
他にも、見た目便利そうな感じになっている。
変わったとは言うものの
とは言うものの、この先10年以内に承継がある中小企業ということで対象はかなり絞られる。
現在のオーナーが60歳位で、これからご子息や同族内で承継を考えているところにはぴったりかもしれない。
それ以外の会社にとっては意味のない制度だ。
ただ、対象に該当しない会社でも何があるかわからないので、申請だけしておいてもいいかもしれない。
そもそも
事業承継税制ができた背景には非上場株式の評価額が高いというのがある。
純資産が多い会社や、利益がよく出ている会社はかなり高い評価額になる。
会社の創業者の場合、100%近い株式の保有比率であることも考えられ、株式だけでもびっくりするくらいの価値になることがある。
ただ、株式を100%持っているからと言って、会社の財産が自由自在になるかというとそうではない。
会社には従業員がいるし、債権者や債務者もいる。
純資産でやりくりしながら会社を守って、成長していかなければならない。
そう考えると純資産価値が株主に跳ね返ってくるのはちょっとかわいそうな気もする。
株価評価の段階で評価する会社の事業実態を加味して、株価の評価減をするとかの方が実用的なのではないかなと思った。
いつの日かの西成。
この辺をブラブラするのが好きだ。