譲渡益が出ない!?

物を買って、それを高く売ると利益が出るが、とりあえずその利益をなかったことにする場合がある。

法人税法にそういう決まりがあり、グループ法人税制といわれている。

 

グループ法人税制


最近はホールディング会社というのが多い。

親会社があって、その下に子会社がぶら下がっている形態である。

株主は親会社の株式を持ち、子会社の株式は親会社が管理している。

会社間の取引がしやすかったり、M&Aで子会社を売ったり買ったりするのがこの形態だと楽だ。

こういった親子の会社で株式の関係が完結している場合などの場合、内部取引については利益を出ないようにするというのがグループ法人税制の大まかな決まりだ。

たとえば、親会社が子会社へお金をあげたり、子会社が別の子会社へお金を用立てしたりした場合、受け取った側では受贈益という利益が生じるが、法人税の計算上はその利益はなかったことにされる。

 

グループ会社間でものを売り買いした場合


原則として、売り買いした時に生じる利益は法人税の計算でなかったことにされる。

(損失が生じたときはその損失も)

ただし、売り買いの対象が商品であったりする場合はなかったこととされない。

また、その物の帳簿価額が1,000万円未満の場合もなかったこととされない。

原則は利益がなかったこととされるのだが、されない場合もあるのでややこしい。

 

なかったこととされた利益の行方


売り買いをして利益が出て、ただ法人税の計算上はその利益がなかったこととされる。

この利益はブラックホールに放り込まれてなくなるということはなく、売った先がそれをまた売ったり、廃棄したりすると、その時点でなかったこととされた利益を元の売り主の会社で認識する。

この場合、買主は売ったり、廃棄した際にその旨を通知しないといけない。

なぜこんなにめんどくさいことになったのか。

おそらくだが、バブル時代に10,000で買った土地が今は10になっていたりして、これを売ると9,990の損が出るが、これをグループ会社を利用して、内部の取引だけで損を出すというような方法が頻発したのを防止するためかなと思う。

この辺の趣旨は当時の税制改正の解説に書いてあるはずだ。

 

今日は飲み終えたコーヒーのコップを描いてみた。

丸い感じと、影の具合が難しい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です