前回、株式とは何かということと、論点となる非上場株式の問題点についてお伝えした。
非上場株式の問題点としては、相続が発生した際の評価額が驚く金額になることがあること、そんな金額にもかかわらず現金化が難しいこと、会社に関係のない親戚などが相続で株を取得する可能性があることなどをお伝えした。
非上場株式の問題を更に
もうずっと昔の話だが、会社は7名くらいの出資者が必要だったらしい。
現在は1名の出資者で会社を作ることができる。
7名の出資者=7名の株主ということで、その時代に会社を設立した方は株式が方々にばらけている可能性がある。
株主の中には、創業者の友達で、創業者に頼まれて株主になったという方も多く、株主である認識がないままお亡くなりになっていることもある。
また、先にも述べたように非上場株式は現金化が難しいにもかかわらず、高額になっている場合がある。
ある創業者は自身が所有する株式の相続税評価額に驚いて、その株式を息子や孫、親戚一同に分散させて自身の相続対策を行った。
確かにこれで、自分自身の相続税は低くなるのだが、分散した株式は時間が経つにつれて更に分散していく可能性があり、最終的に収拾がつかなくなることもある。
タイトルにある、株式は集約すべき?という問いに対しては、集約すべきという回答になる。
じゃあどうしたらいいか
株式の相続対策、承継対策を検討して、計画的に行動する必要がある。
もし、株式が分散している状態であればできる限り後継者などに集約させた方がいい。
集約も踏まえて対策を検討する。
対策もいろいろ
事業承継税制といって、国が整備したルールに基づく対策がある。
他には株価引き下げを実施しての贈与や譲渡、M&AやMBOなども最近は多い。
どれを実施する場合でも株式が散乱していると実施に支障が生じる可能性が上がる。
なお、事業承継税制は要件が厳しく、使いにくいと言われている。
そこで現行制度と並行して特例制度が整備され、2018年4月から利用可能になった。
ただやっぱりそもそものところが引っ掛かる。
そもそものところというのは、贈与又は相続による株式の承継を延々と継続しなければならない点だ。
特例制度では贈与税及び相続税が非上場株部分は全額免除となったが、特例自体の期限が10年なので、10年後以降は、特例利用者も現行制度に引き戻される可能性がある。
つまり、特例でひとまず贈与税など免除された方も、10年後以降にさらに次の世代に株式を承継する際には、発行済み株式の2/3を上限に、相続税額の80%という現行制度が適用される可能性があるということだ。
非上場株式はほっとくと大変なことになる
こういった、承継対策は現役のオーナーと会社の経営陣が集中して検討した方がいいと思う。
また定期的に株式の評価をしたり、現状で問題ないか確認した方がよい。
結構放っておきがち、見ない振りしがちだが、株式の分散が経営リスクになることなどを考えると決して他人事ではない。
昨年の今頃は本町でじゃがカレー食堂というカレー屋をやっていた。
写真はライオンラガーというスリランカのビール。
とてもおいしい。