適格合併の際の繰越欠損金の引継ぎ可能期間

先日も書いた適格合併の際の繰越欠損金の引継ぎ可能期間について。

法令を読み直して理解したことなどを。

 

繰越欠損金は発生した翌年から●年引き継げるというわけではない


繰越欠損金の利用可能期間については、発生した翌年から9年とかで判定することが多いと思う。

ただ、法人税法57条1項の条文では事業年度開始の日前9年以内に開始した事業年度において生じた繰越欠損金とある。

事業年度変更などの場合、繰越欠損金の利用可能期間が分かりづらくなったりするが、条文に立ち戻ると分かりやすい。

そして、この9年以内に開始というのが10年以内に改正された。

ただし、法人税法の改正附則第1条と27条を見ると、この改正後の規定は平成30年4月1日から適用するとあり、更にはこの規定が適用されるのは平成30年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金とある。

なので、判定をしようとする事業年度開始の日前10年以内に開始した事業年度の一番古い事業年度が平成30年4月1日があれば10年以内で判定するということになる。

 

適格合併の時に引継ぎ対象となる繰越欠損金


法人税法57条2項では適格合併の日前10年以内に開始した被合併法人の事業年度において生じた欠損金がある場合、その生じた事業年度開始の日の属する合併法人の事業年度においてその欠損金が生じたものとみなすというようなことが書いてある。

ただし、これも法人税法の改正附則第1条と27条を見ると、この改正後の規定は平成30年4月1日から適用するとあり、更にはこの規定が適用されるのは平成30年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金とある。

つまり、10年以内に開始したというのは平成30年4月1日以後に開始した事業年度において生じた欠損金に適用されることになる。

なので、10年が適用されるのは平成40年頃に合併がある場合と思われる。

 

あまりどこにも書いていない


このことについて明記されていたのは佐藤信佑先生の過去の書籍と髙野総合会計事務所の書籍だった。

新日本法規の加除式の法人税法やその他の書籍ではあまり明確でなく、読み手として困った。

税制改正の解説も見てみたが、特に触れらていなかった。

解説しなくても分かるからだろうか。

ただ加除式はこの点ではは明確でないものの、色々な書籍を読んでみて分かったが、書籍の内容のほとんどが加除式で網羅されていることも分かった。

 

ネットのブラウザをchromeからedgeにしてみた。

スマホも。

今のところブックマークを同期できたりして、問題はない。

ただchromeでかなりのパスワードを保存していたようで、edgeでパスワードを求められるたびにパスワードを思い出したりする作業が必要になる。

適格合併の時の繰越欠損金の引継ぎ

適格合併の時の繰越欠損金についてネットで調べると、要件ばかりが出てくる。

適格合併に該当し、かつ支配関係の継続や、みなし共同事業要件、時価純資産超過額の有無などで判定する。

この辺は一つずつ潰していけば、欠損金が引継ぎ可能かどうかの判断がつく。

繰越欠損金の引継ぎではこの引継ぎ要件の他にも注意すべきところがある。

 

引継ぎ対象の繰越欠損金の判断


条文を見ると、引継ぎ可能な繰越欠損金は、被合併法人の合併の日前10年以内に開始した事業年度において発生した繰越欠損金とある。

なお、繰越欠損金の利用可能期間は、7年、9年、10年と変更されている。

9年から10年には2017年の税制改正で変更された。

この変更の施行が2018年4月1日以後に開始する事業年度となっている。

では、引継ぎ可能な繰越欠損金は一体いつの分から引き継げるのだろうか。

 

条文を読んでもあまり分からない


法人税法57条、法人税法施行令112条あたりに繰越欠損金の引継ぎ関係があるが、ここから理解するのは至難の業のような気がする。

ある書籍で繰越欠損金の利用可能期間が7年から9年になった際の解説があり、そこから推察すると、2018年4月1日前に開始した事業年度において生じた繰越欠損金については適格合併の日前9年以内に開始した事業年度において生じたものが引継ぎの対象になるようだ。

これが条文で明記されているかというと明記されていない。

 

条文ややこしい


繰越欠損金関係と資産の時価評価関係については、条文が複雑な気がする。

素直に読むとこう読める、でもそう読めない場合もあるというような状態になっている気がする。

この辺、読む人の推測や憶測が入らないように、財務省は改正案に対する解説はすみからすみまで丁寧にすべきだと思う。

 

家の付近であるが、かなり浸水するらしい。

4.5mというと相当な高さだと思う。

今月の税務弘報 2018年9月

毎月税務弘報の感想を書こうと思っているが、いつも読まずにそのままか、読むもののあまり興味のある記事がなかったりで感想にまで至らない。

税務弘報というのは税務の専本雑誌だが、こういった雑誌は結構ある。

王道なのが税務通信。

それに対抗している感じなのがT&Aマスター(おそらくタックス&アカウンティングマスター)

で、税務弘報や国税速報、月刊税理、税務Q&Aなど。

どれも本屋などではあまり売られていないので、通信購読する必要がある。

何個か読んできて、バランスがいいのが税務弘報だったので、定期購読している。

個人的にはネットで見たいのだが、T&Aマスター以外はほぼ対応していないか、対応していてもネット版は有料という状況だ。

先日もぐちぐちと電子化が中途半端という話をした。

ついでに言うと、e-Taxという電子申告のサービスはインターネットエクスプローラーしか対応していない。

この辺はもうあきらめて、自分自身が快適な仕事の環境を作っていくしかない。

 

税務弘報の内容


・収益認識関係

・役員給与関係

・消費税率アップに備えた経営計画

・一般社団法人への課税の見直し

・その他連載もの

 

感想


今回、収益認識に関する会計基準が制定されたことで、法人税でも改正があったとのこと。

中小企業にとってはあまり会計基準は関係なく、引き続き税理士会が公表している中小企業の会計に関する指針などが会計方針の基準になると思われる。

ただ収益認識をあいまいにしている会社は多い。

今回の改正を機会に認識を明確にするのはいいかもしれないと思った。

 

役員給与関係はあまり面白くなかった。

中小企業であれば、適切な額を定期同額給与で出していればいいと思う。

個人的には事前確定でボーナスを出したりする必要はないと思う。

業績が良ければ、翌期の定期同額を上げればいい。

 

一般社団法人関係は事業承継や資産税コンサルをしている方にとっては衝撃的な改正だった。

一般社団法人の中に資産を入れてしまえば、入れてしまったものはその後、半永久的に相続税の対象外になると考えられていた。

何年か前からこの考えのもと一般社団法人を設立して資産を移した方がいらっしゃると思うが、これが封じられてしまった。

今後は一般社団法人の純資産額を理事の頭数で除した金額に対して相続税が一般社団法人に課される。

ただ、相続税が課されるには条件があって、相続開始前にその亡くなった理事に係る同族関係者割合が50%超であるか、過去に理事であった亡くなった方が相続開始前5年以内にその方に係る同族関係者の割合が50%超で、その期間が3年以上である場合が対象となる。

記事では同族関係者の割合を50%以下にすればいいとか、頭数で除すのであれば、頭数を増やせばいいというようなことが書いてあった。

 

税務弘報は税理士的にはいい雑誌だが、かさばるので定期的に捨ててしまう。

バックナンバーはぜひwebで読めるようにしてほしい。

 

結構傾いている家を見つけた。

おそらく取り壊されるのだと思われる。

長い間誰かの生活を支えてきた家だと思うと感慨深い。

所有と経営は分離できない

上場会社の場合、株主(所有)と経営陣(経営)は分離している。

この場合、所有者が経営をチェックする機能が働き、株式会社として機能している状態であると考えられる。

ところが中小企業の場合、所有と経営を分離させることが難しい。

大体、父から子とか、経営者から次世代の経営者へ経営を承継するとき、株式も承継することになる。

 

なぜ経営の承継で株式も承継するのか


①単純にもって行き場がない

②先代が株式をもったまま亡くなるとよくわからない株主に所有される可能性がある

③経営の承継時、退職金が出て株が安くなっているため

単純にもって行き場がないので、退職金が出て株価が安くなった時に後継者へ承継させているというのと、株式が分散して所有が分離してしまうと中小企業の経営上問題が出てくる可能性があるというのが大きいと思う。

 

なぜ分離してしまうと問題が出るのか


上場会社の場合、所有と経営が分離しているが、株式の1人ごとの所有割合はコンマ数パーセントという感じに分散している。

株式を所有すると経営に対して口出しができるが、コンマ数パーセントだと影響力は低い。

なので、所有と経営が分離しても問題は大きくならない。

村上ファンドなど数十パーセントという割合で所有されると経営に対する影響力が大きくなり、経営陣の交代なども要求できるようになる。

 

書いていて思ったこと


中小企業の場合、村上ファンドと同じで、知らない人に数十パーセントと握られると経営がうまくいかなくなる可能性が高い。

そもそも中小企業に株式会社制度はあっていないような気もしてきたので、何か解決方法はないか考えてみた。

①株式会社ではなく社団法人にする

②所有を集中させるのではなく上場会社と同じように分散させる

株式会社の場合、所有と経営が分離しているが、社団にすると所有と経営がセットになる。

中小企業にとってはこれは好都合のような気がする。

最近相続税の税制が改正されてちょっと注意する必要があったり、そもそも社団という名称がまだ浸透していないので何とも言えないが、これから会社を始める方は社団でもいいのかもしれない。

相続税の税制改正により、普通の株式会社よりも不利な課税方法になるので、社団に株式会社を持たせるというような感じで、社団の評価額を株式会社の評価額で反映させることができるようにするなどの工夫が必要だと思う。

また、そもそも株式会社制度の趣旨が所有と経営の分離なので、思いっきり分散させてもいいのかもしれない。

企業間の株式の持ち合いというのがあったが、もっとカジュアルにいろいろな会社が紹介を通じて株式を持ち合うというのもありなのかなと思った。

週末、堺市の船待神社というところで、玉串奉納というのに参加させていただいた。

神社のある堺市の出島には父親の実家があり、私も大学時代の3年ほどを過ごした。

第二会社方式、分割型分割と分社型分割どっちがいいのか

事業再生のときなど、債務や不良債権を元の会社に残し債務免除等を受けつつ、いい部分は分割で切り離すという手法がとられる。

個人的にはこの手法を採るとき、分社型分割という元の会社から100%子会社をぶら下げる感じで分割するイメージがあった。

最近、第二会社方式の再生について触れる機会があり、ちょっと調べていたら分割型分割の第二会社方式というのがあるHPに載っていて、確かにこの方法もあるのかなと思った。

分割型分割は分割する会社と分割を受ける会社が同じ株主の元、兄弟になる分割の方法だ。

 

何が違うのか


・株主

分社型が、分割の承継を受ける法人の株主が分割する法人になるのに対して、分割型は分割をする法人の株主が分割の承継を受ける法人の株主にもなる。

第二会社方式の場合、分割後、分割の承継を受けた法人をスポンサー企業に売却することがある。

この場合、株式で売却することがほとんどだと思うが、株式の売却益が生じる場合に分割した法人で生じるか、元の株主に生じるかという違いが出る。

再生の局面では分割をする法人に繰越欠損金や期限切れ欠損金があり、これと売却益を相殺することができる。

元の株主の場合はそうはいかないことが多いと思われ、株式の譲渡所得等が生じる可能性がある。

 

・税制適格、非適格

税制適格、非適格の判定上、株式の継続保有要件というのがある。

分割後は分割する法人と分割の承継を受ける法人の株式を継続して保有しないといけないという要件だが、平成29年の税制改正で、分割型分割の場合は、分割の承継を受ける法人の株式を継続して保有してればよく、分割する法人については売却や清算をしても構わなくなった。

ただ、前述のように、再生の場合分割の承継を受ける法人を売却する場合もある。

売却してしまうと非適格に該当することになる。

 

再生の場合は


再生の場合は株主への課税などを考えると分社型分割がいいように感じる。

 

その他の論点


非適格の分割の場合、資産調整勘定についても論点になると思われる。

この辺について、またちゃんと調べようと思う。

 

昨日は生まれてくるはずだったわが子の一周忌だった。

写真はそんなことがあった後、大仙公園へ妻と散歩に行ったときにいた猫。

公園関係者と思われる。

株価の引き下げ

中小企業にとって目の上のたんこぶというか、いざというときに邪魔になるのが株式だ。

普段は特段存在感がないが、相続や経営者の交代などのイベントがあると存在感を発揮する。

意外な相続税額の原因になったり、相続人間のもめごとの火種になる。

個人的にはこういった株式は経営者が保有すべきものと思う。

親族にまんべんなく持たせたり、取引先に持ってもらったりしている所があるが、こういった状態はいざというときに障害になることが多い。

 

株式とは


会社は社長や役員が経営して、従業員が働くことで成り立っているが、会社自体を所有しているのは株式を持っている人になる。

なので、株式はその会社を所有する証拠になる。

所有する割合が大きければ、会社に与える影響も大きくなる。

経営者が社長で、所有は遠い親族という状態になると、仕組みを知っている人であれば経営の邪魔をしたり、会社の経営を乗っ取ったりすることができてしまう。

一澤帆布という布製のカバンを製造販売しているところでも、株式が原因で壮大な兄弟げんかが繰り広げられている。

そんな株式なので、一子相伝みたいな感じで引き継いでいくのがやはりいいような気がする。

 

株価の引き下げ


業績のいい会社は株式の価値も高い。

価値が高いまま引き継ぐと税金がとてもかかるので、みんな何とか株価を下げようとする。

下げる場合のポイントは以下になると思う。

①純資産の引き下げ

②利益の引き下げ

③配当の引き下げ

④売り上げ規模の拡大

細かい説明は省くが、この辺を考えながらいろいろな策を実行することで株価が下がる。

下がった段階で、事前に検討した移動方法を実行する。

 

多少税金がかかってもいいのじゃないか


第三者的な立場からすると、株式を承継して会社の代表に就任すると役員報酬を取ることができる。

また退任時には役員退職金を取ることができる。

経営には責任が生じるが、お金の面では自由になることが多いと思われる。

なので、まあ多少税金がかかってもブーブー言わずに事業に取り組めばいいと思う。

キャンプにでも行って川で泳いだりしたい。

相続や贈与で生じる税金

メルカリが上場したニュースが流れてきた。

時価総額7,000憶?らしい。

ネット系、システム系が新たなインフラ産業になった感じがある。

現実の世界だとインフラにも限度があるが、ネット系だと創り出すことができれば限度はない。

ただ、メルカリは個人的に好きではなく、ネット乞食の巣窟と思っている。

出品すれば値下げ交渉が次から次へと来るし、落札するとたまに拾ってきたんじゃないかというような品物が届く。

そういう意味では中古品の売買はセカンドストリートとかの実際の店舗のほうがまだいいかなと思う。

 

話は変わって


税務広報の3月号から5月号にフリーのCADソフトを使って、土地の不整形地補正をしようという特集があった。

先日それを思い出して、ソフトをダウンロードし、記事の通りサンプルで試してみた。

感想としてはとても楽しく、仕事にかなり使えそうだということだ。

不整形地の面積に、想定整形地の面積、間口距離などが定規を使わずとも簡単に算出できる。

個人的にはとても革新的だった。

jw_cadというソフトを使う。

 

評価業務


相続税や贈与税というのは聞いたことがあると思う。

相続や贈与する財産がお金だけであれば税金の計算も簡単だが、土地や建物、非上場株、上場株、海外の何かなどお金だけにおさまらない。

こういった財産については、評価をしたうえで税金の計算をする必要がある。

ただし評価とはいうものの、土地一つにしても真四角の土地というのは稀で、ちょっと台形になっていたり、角地で三角という土地もある。

こういった土地については先ほどの不整形地補正という補正をしたりする必要がある。

非上場株式は結構厄介で、会社が所有している財産についても評価をしなければならなかったりして、仮に10社分の非上場株式を所有している方が亡くなって相続税を計算する場合、結構膨大な評価業務が生じる。

個人的はこういった評価業務などの作業や、課税関係を調べたりして部屋に籠るのは好きな方なので、この辺の仕事を増やしていけたらと思っている。

 

スリランカの海。みんな服のまま入る。
スリランカでサーフィンできたらいいと思っている。

事業承継税制について思うこと

事業承継税制というのがある。

中小企業向けの税制で、中小企業の株式を現世代から後継者へあまり負担なく承継させることを目的として定められた。

2018年4月から特例法が設置され、その解説などが専門誌などに掲載されていて、よく目にする。

使いやすくなったとか、要件が緩和されたとか。

 

自分自身、使いたいかどうか


私がオーナーだとして、この税制を使うかどうか。

私自身は承継できてすっきりするかもしれない。

ただやはり問題がある。

・そもそも息子などが後継者になるのか、こちらは強制できない

・事業承継税制を使った場合、次世代以降もこの税制に囚われる

こういうことを考えると、オーナーだけの一存では決定できず、一族全体を巻き込んだ承継になってしまう。

なかなかすっきりしない制度ということで、いろいろ割り切らないと使おうという気にならない。

 

問題点について割り切って考える、備える


次世代以降もこの税制に囚われるということで、事業承継税制を利用して株式を承継して、その株式を売却等した場合は猶予されていた税額を支払う必要が出てくる。

事業承継税制を適用した時点で、この辺のことは割り切るしかないのかなと思う。

ただ適用時点で、こういったことが起こりうることを想定して、適用前に株価対策をする必要はあると思う。

 

準備期間にどれくらいとるか


後継者にはある程度目星がついているとして、事前準備に1年は必要だと思う。

株価対策に、承継のタイミング、要件の充足などについて十分に検討する必要がある。

対策実行から承継まででさらに1年程度だろうか。

 

やっぱりめんどくさそう


やはりこの制度の問題は、次世代以降も囚われるというところにあるので、株価対策をして株式の譲渡や贈与で税金を払ってでも承継を実施するというのが、

個人的には気分がすっきりするような気がする。

 

緑色のホイールのトラックを見つけた。

株式は集約すべき? その②

前回、株式とは何かということと、論点となる非上場株式の問題点についてお伝えした。

非上場株式の問題点としては、相続が発生した際の評価額が驚く金額になることがあること、そんな金額にもかかわらず現金化が難しいこと、会社に関係のない親戚などが相続で株を取得する可能性があることなどをお伝えした。

 

非上場株式の問題を更に


もうずっと昔の話だが、会社は7名くらいの出資者が必要だったらしい。

現在は1名の出資者で会社を作ることができる。

7名の出資者=7名の株主ということで、その時代に会社を設立した方は株式が方々にばらけている可能性がある。

株主の中には、創業者の友達で、創業者に頼まれて株主になったという方も多く、株主である認識がないままお亡くなりになっていることもある。

また、先にも述べたように非上場株式は現金化が難しいにもかかわらず、高額になっている場合がある。

ある創業者は自身が所有する株式の相続税評価額に驚いて、その株式を息子や孫、親戚一同に分散させて自身の相続対策を行った。

確かにこれで、自分自身の相続税は低くなるのだが、分散した株式は時間が経つにつれて更に分散していく可能性があり、最終的に収拾がつかなくなることもある。

タイトルにある、株式は集約すべき?という問いに対しては、集約すべきという回答になる。

 

じゃあどうしたらいいか


株式の相続対策、承継対策を検討して、計画的に行動する必要がある。

もし、株式が分散している状態であればできる限り後継者などに集約させた方がいい。

集約も踏まえて対策を検討する。

 

対策もいろいろ


事業承継税制といって、国が整備したルールに基づく対策がある。

他には株価引き下げを実施しての贈与や譲渡、M&AやMBOなども最近は多い。

どれを実施する場合でも株式が散乱していると実施に支障が生じる可能性が上がる。

なお、事業承継税制は要件が厳しく、使いにくいと言われている。

そこで現行制度と並行して特例制度が整備され、2018年4月から利用可能になった。

ただやっぱりそもそものところが引っ掛かる。

そもそものところというのは、贈与又は相続による株式の承継を延々と継続しなければならない点だ。

特例制度では贈与税及び相続税が非上場株部分は全額免除となったが、特例自体の期限が10年なので、10年後以降は、特例利用者も現行制度に引き戻される可能性がある。

つまり、特例でひとまず贈与税など免除された方も、10年後以降にさらに次の世代に株式を承継する際には、発行済み株式の2/3を上限に、相続税額の80%という現行制度が適用される可能性があるということだ。

 

非上場株式はほっとくと大変なことになる


こういった、承継対策は現役のオーナーと会社の経営陣が集中して検討した方がいいと思う。

また定期的に株式の評価をしたり、現状で問題ないか確認した方がよい。

結構放っておきがち、見ない振りしがちだが、株式の分散が経営リスクになることなどを考えると決して他人事ではない。

 

昨年の今頃は本町でじゃがカレー食堂というカレー屋をやっていた。

写真はライオンラガーというスリランカのビール。

とてもおいしい。

株式は集約すべき? その①

株という言葉は一般的でも、実際それがどういうものなのかというのはあまり知られていないように思う。

株式に株券、上場株に非上場株、未公開株というように、何かいろいろあるように感じる。

 

まずは株って何?


会社を始めるときには会社へお金を入れる必要があるが、株はそのお金を入れた証のようなものだ。

これを株式と言ったり株券と言ったりする。株式や株券は実際に紙幣のように印刷されているものもあれば、電子マネーのように電子管理されているものもある。

会社はお金を銀行などから借りて集めることのほか、誰かにお金を入れてもらって、その代わりに株を発行することで集めることもできる。

会社にお金を入れてもらうことを出資や増資という。

このようにして発行される株であるが、巷に出回っているのはいわゆる上場株というのが多い。

株は売ったり買ったりすることができるが、そういった売り買いを取りまとめている取引所があり、この取引所に登録している株が上場株と呼ばれている。

一方取引所に登録されていない株は非上場株と呼ばれる。

この非上場株も売り買いすることができるが、取引所に登録されていないので、売っているのかどうかを知ることがほぼできない。

日本の場合、90何%かが非上場株の会社なので、かなりの数の株が非上場株であると推測することができる。

 

非上場株の問題点


非上場株は取引所に登録されていないので、気軽に売買することができない。

したがって、出資した人や増資した人がそのまま持っていることが多い。

なお、株は出資や増資により受け取ることができるが、受け取るといろいろな特典がある。

会社から出資へのお礼として配当金を受け取ったり、会社に対して意見を言うこともできる。

受け取るお金や意見の声の大きさは出資の額が大きければ大きくなる。

こういった特典は代々引き継ぐことができて、相続が発生すると、子や孫に引き継がれる。

引き継ぐことができるのはいいが、引き継ぐときには価値に応じて税金がかかる。

非上場株の場合の価値の計算方法は国税庁が定めていて、これに基づいて計算をするとびっくりするような高値になる場合がある。

これは会社の業績が良かったり、過去に儲かったりした場合に高値になることがおおいのだが、先にも述べた通り取引所に登録していないため、実際にそんな高値で誰かに売って儲けたりするというのは結構難しい。

したがって、高値ではあるけど現金化が難しく、相続の時の負担になったり、価値があると思い込んだご兄弟でもめてしまったりと厄介ごとの種になっている。

また、株を持っていると会社に対して意見を言うことができるが、何もわからない親戚が株を持ったことで意見を言うようになり、会社の経営が不安定になったりするということもある。

つづく

 

週末は自転車の予定。とても楽しみ。