お客さんのところに訪問していて、経営力向上計画の即時償却を使いたいということで、手続きなど説明していたのだが、あれ、あれって令和3年3月までじゃなかったっけと一瞬頭によぎってヒヤッとした。
実際には令和5年3月までの2年間延期されている。
結構こういうことがあるので、何とかならないかと思っている。
仕事の話が続くが、組織再編でもヒヤッとすることが多々ある。
ちょっとだけ紹介。
①繰越欠損金が期限切れになりかけだった
合併とかすると被合併法人の繰越欠損金を引き継ぐことができる。
取り扱いとしては、被合併法人の繰越欠損金が生じた事業年度開始の日の属する合併法人の事業年度において生じた繰越欠損金とみなして引き継ぐ。
引き継いだ繰越欠損金は、合併法人にてその事業年度開始の日前9年(平成30年4月以降開始事業年度の場合は10年)以内に開始した事業年度において生じた繰越欠損金がその事業年度で利用できるとされているので、このスケジュールに従って、期限切れの判断をする必要がある。
合併で繰越欠損金を引き継ぐ判定をするような場合、適格の判定と支配関係の継続期間は比較的ちゃんと確認するのだが、この期限切れの判断が抜けていることがある。
で、報告書とか作る段階でこの繰越欠損金引き継げないというような事態が生じることが想定されるので、合併で繰越欠損金の引継ぎを検討する際には、期限切れの判断までちゃんとする必要がある。
②均等割負担が凄い増える可能性
組織再編をすると資本金等の額が増加する場合がある。減少する場合もあるが。
株式交換や株式移転で親会社になる場合は、ほぼ増加する。
適格の判定をして終了ではなく、均等割への影響を検討しないといけない。
例えば親会社に都道府県にまたがる支店が沢山あるような場合で、資本金等の額の均等割の課税標準が上がる場合がある。
あとは、分社型分割とかで事業を子会社に切り出す場合も注意が必要で、切り出した純資産分が資本金等の額になるので、複数支店を抱えていて事業を切り出す場合には注意が必要だ。
一応、資本剰余金の配当や自己株で対応可可能かもしれないが、微妙な感じなので事前に純資産の調整とかをして分割するのがいいような気がする。
③連続する組織再編での適格判定
適格判定の基準の一つに支配関係の継続がある。
ただ、例えば株式移転をして、その後移転した子会社を被合併法人として合併するような場合、株式移転の親会社と子会社の完全支配関係が継続されない。
ただ、単独株式移転の場合にはその後の合併が適格合併の場合には、株式移転から合併までの間の完全支配関係が維持されていれば株式移転は適格となる。
非適格の株式移転と見積もって、評価損益の計上に備えて、対応を検討したものの結局適格なので評価損益が計上されないというようなことがある。
④建設業許可や酒類販売の免許
建設業許可や酒類販売に関わらず、許認可は再編上の鬼門になりやすい。
合併や分割で引き継げると謳われているようなものでも、ふたを開けるとスケジュールなどの制限があったりする。
建設業許可も酒類販売も再編の1ヵ月前とかに再編による引継ぎの申請が必要だっと思うが、その際の申請書類に、再編の契約書の他に再編を決議した株主総会の写しが必要とされている。
つまり、申請時には既に株主総会を開催している必要があるのだが、結構再編の効力発生の直前あたりで株主総会を設定していることがあり、許認可の引継ぎがNGになることがある。
結局新規で申請したりというような事態が生じる。
なので、再編のスケジューリングをする際には法務と税務ほのかに許認可についてもスケジューリングに組み込む必要がある。
また、法務面で考えれば、債権者保護と公告の申し込みで1か月半あれば再編が可能といわれているが、許認可等の検証、申請なども含めると最低3ヵ月、4ヵ月は余裕がある方がいいと思う。